保護
人慣れしていない保護猫と暮らし始めるとき
保護した猫が隠れて出てこない、近づくと逃げる、シャーと威嚇する。外で暮らしていた猫なら、家に入った直後はそれだけで「人に慣れない猫」と決まったわけではありません。
ただし、家の中で暮らすようになれば必ず触れるようになるわけでもありません。何年も人と暮らしていても、抱っこはもちろん、ほとんど触れない猫もいます。 まずは「触ること」をゴールにせず、この家では危険なことが起きないと覚えてもらうところから始めます。
最初は行動範囲を広げすぎない
人慣れしていない猫をいきなり家中に放すと、家具の奥や人の手が届かない場所へ入り込んでしまうことがあります。
最初は静かな一部屋や、必要に応じて2段以上のケージで生活を始めます。トイレ、ごはん、水、寝床、隠れ場所をその中や近くに用意し、人の出入りも必要最低限にします。
隠れている猫を無理に出さない
箱の中やベッドの下に隠れている猫を、手を伸ばして引っ張り出さないでください。逃げ場をなくすと、猫はさらに人を怖い存在だと感じます。
安全な隠れ場所を一つ作ったうえで、そこから自分で出てくるのを待ちます。体調確認ができる位置に隠れ場所を作っておくことも大切です。
最初は「同じ部屋にいるだけ」でいい
すぐに触ろうとせず、少し離れて静かに過ごします。本を読む、スマホを見る、ゆっくり話す程度で十分です。
人が近くにいても追いかけられない、捕まえられないと分かってくると、猫の方からこちらを見る時間が増えたり、人がいてもごはんを食べたりするようになることがあります。
ごはんは仲良くなるきっかけにできる
人が来るとごはんが出てくる、好きなおやつがもらえる、と覚えてもらう方法があります。最初は人が部屋を出てから食べても構いません。
少しずつ距離を縮めても、その猫が食べるのをやめるほど近づいたら戻ります。
そして、食べている最中に触ってはいけません。安心して食べている時間に突然手を出すと、「ごはんのときも油断できない」と覚えてしまいます。
猫から近づいてきても、すぐ触らない
人の近くまで来た、においを嗅ぎに来た、足元を通った。ここまで来ると触りたくなりますが、猫がまだ手を怖がっていることがあります。
まずは手を低い位置で止め、猫からにおいを確認できるようにします。猫が自分から頬を寄せるなど、触れられることを受け入れている様子が見えてから、短時間から始めます。
シャーは「嫌い」ではなく「近づかないで」のこともある
シャーと威嚇されたときに、慣らそうとしてさらに近づく必要はありません。猫が出している「今はこれ以上近づかないで」というサインとして受け取り、距離を戻します。
猫が逃げるたびに追いかけたり、ケージの奥へ手を入れ続けたりすると、人が近づくこと自体を警戒しやすくなります。
触れるまでに「何日」という期限はありません
数日で触れるようになる猫もいれば、数週間、数か月かかる猫もいます。そして、もっと長くかかる猫もいます。
うちにも、家に来て1年以上たってもほとんど触れない猫が2匹います。いわゆる「家庭内野良」のような状態で、家の中では普通に生活していても、人の手にはまだ強い警戒があります。
野良猫から家猫になったからといって、必ず抱っこできるようになったり、好きなときに触れるようになったりするとは限りません。そこを「慣らし方が失敗した」と考える必要もありません。
それでも、少しずつ触れるようになるメリットはある
触れないままでも一緒に暮らすことはできます。ただ、体を触れると、しこり、傷、腫れ、毛や皮膚の変化などに気づきやすくなります。 通院や爪切り、投薬などが必要になったときも、触れる猫の方が対応しやすいのは確かです。
だから「絶対に抱っこできる猫にする」ではなく、可能なら少しずつ距離を縮めていく、くらいに考えます。昨日より近くで食べられた、こちらがいても眠れた、手の近くまで来た。そんな変化を積み重ねていきます。
触れるようになっても、抱っこは別
頭や頬を触らせてくれるようになっても、体を持ち上げられることは嫌がる猫がいます。
触られること、抱っこされること、キャリーへ入ることは猫にとって全部別の練習です。ひとつできたから全部できるとは考えず、それぞれ少しずつ進めます。
通院のための準備は、触れるようになる前から考えておく
「まだ触れないから病院へ行けない」となると困るので、元気なうちに病院へ相談しておくと安心です。 人慣れしていない猫を診てもらえるか、捕獲器のまま受診できるか、洗濯ネットが必要かなどを聞いておきます。
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こんなときは、人慣れだけの問題にしない
長く食べない、排泄を我慢している、急に攻撃性が強くなった、動き方がおかしいなど、生活や体調に変化があるときは「怖がりだから」と決めつけず、動物病院へ相談してください。
人慣れしていない猫のために、自分にできること
- 静かな部屋やケージから生活を始める
- 隠れている猫を引っ張り出さない
- 同じ空間で何もせず過ごす時間を作る
- ごはんやおやつで人の存在を良い経験にする
- 食べている最中には触らない
- シャーと言われたら距離を戻す
- 触れない期間が長くても期限を決めない
- 通院方法だけは早めに病院へ相談しておく
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